審査員インタビュー
音楽表現力を見極める視点 /
音楽表現賞 選定審査員
数々の有名アーティストの楽曲プロデューサーとして活躍し、2011年には西野カナ楽曲で「ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したGIORGIO CANCEMI。
2017年より『Legend Tokyo』審査員にも参加、審査員賞を贈ったFly Six B、WREIKOにはアーティストMV振付師として抜擢もしている。その彼が考えるコロナ禍の業界変化、そして可能性とは!?
名だたるアーティストを手がける音楽業界屈指のヒットメーカー!
名だたるアーティストを手がける
音楽業界屈指のヒットメーカー!
音楽プロデューサー / アーティスト
GIORGIO CANCEMI
ジョルジョ カンチェーミ
19才の時にヒップホップグループ〝DELiGHTED MINT〟のMC兼コンポーザーとしてメジャーデビュー。その後ソロアーティストとしての創作活動を経て、2003年に主宰レーベル「@LAS RECORDS」を設立、自身がMCを務める〝So’Fly〟を結成。現在では西野カナや倉木麻衣をはじめとする数多くのアーティストの楽曲プロデューサーとして名を馳せている!
インディーズ、メジャー関係なく
今やすべての人たちが発信できる時代となった!
行動しなければ何も起こらない。チャンスは今、平等にある!
──近年の音楽業界について、GIORGIOさんが感じている傾向はいかがですか?
メディアの発信力が作用しているところもあると思いますがK-POPの影響が強く、日本国内でアーティストを目指している方々もそれに似た音楽を作っているように感じています。
そしてもう1つは、これまでコアなジャンルとして考えられてきたようなサウンドが、SNSをはじめ映像を媒介にして人気を博する時代になったと思いますね。
──確かにSNSでバズったアーティストが増えてきましたね!
インディーズ、メジャーデビューという垣根が無くなりましたよね。
従来はメジャーデビューを目指す時代でしたが、今は自分たちで好きなタイミングに音楽だけでなくMVを作って発信できます。
すべての人たちがクリエイターとして広がるチャンスが与えられるようになった。
もう振付師もメジャーアーティストも変わらないんですよね!
しかし、いくらでも発信できるようになった反面、行動することがより重要になってきたと思います。
──これはコロナの影響があるのでしょうか?年では、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督にも就任されたんですよね!
外に出られない状況下になって、動画を観て楽しむエンタメが大幅に増えたと感じます。
もともと映像にはポテンシャルがあり、コロナ過前から始めていたクリエイターはさらなるアイディアを出してクオリティを向上させてきた。
新たに始めた方にとっては、先駆者のノウハウによってある程度のクオリティが担保されていたので挑戦しやすくなったと考えます。
ただその結果として、受け手にとっては自分がインスパイアされるものに行きつくまでの時間がかかるようになっているかもしれません。
──どのようにすれば、より発見されやすくなるのでしょうか?
発信することが手軽になった代わりに、クオリティと工夫がより重要。
その状況を理解して手間をかけているクリエイターは力をつけていますよね。
アイディアや試行錯誤を重ねてワンランクあげることで、より個性を発現できますし、誰かの眼にとまりやすくなるとは思いますよ!
音楽と振付の融合により生みだされる感動を!
──では、GIORGIOさんが振付師にお仕事を依頼する際、どのようなことを求めますか?
共感する力とアイディアですね。
プロの現場ではプロデューサーの頭の中にはすでにヴィジョンが描かれていることがほとんどです。
まずそれを再現する力が必要。振付はもちろん衣装や表情への指導など、まるでプロデューサーと同じ目線に立たなくてはなりません。
その上で振付師自身の個性とアイディアを織り交ぜていただけると、一つのピースがハマったようなハイクオリティが実現できます。
以前の大会で審査員賞を贈らせていただいたFly Six Bさんは常にアイディアを提案してくださいましたし、WREIKOさんはビジョンを形にしたうえで個性をバンバン発揮してくださるので思いもよらない発想が生まれていました。
彼女たちとはまた、ぜひお仕事をご一緒したいと思っていますね!
──『Legend Tokyo』大会自体の印象はいかがでしょうか?
回を重ねるごとに振付師がさまざまな工夫をしながらクオリティをあげてきていましたし、大会が目指す趣旨を振付師だけでなくダンサーにも浸透されていたように感じました。
だからこそ5年の歳月を経て開催される今大会では、たくさん驚かされたいです。
──今回は審査員としてどんなポイントに着目しますか?
音楽が作品の中にどういった役割で存在しているのか、さらにそれがどのように表現されているのかというところですね。
これまでの『Legend Tokyo』でもシンプルに既存楽曲1つで戦う作品もあれば、いくつもの音楽を繋いで構成された作品、ピッチやテンポを変化させてリミックスした音楽、さらには完全にオリジナルの楽曲もありました。
ただしそれが作品のテーマに沿っているのかと言えば必ずしもそうとは言えなかった。
もしかしたら別の音の方がそのシーンに合っていたのかもしれない。
大切なことは楽曲が表現したい内容にマッチしているのか、そしてその融合によって感動を与えられているのか?と考えています。
素晴らしい作品に出会えることを今から楽しみにしています!
JOB FILE
西野カナ
楽曲プロデュース
国民的大ヒットとなった「会いたくて会いたくて」をはじめ、西野カナを代表する数々のヒット曲の楽曲プロデュースを手掛ける。
NERDHEAD
プロデュースのみならず、ソロプロジェクト「NERDHEAD」やヒップホップ・ユニット「So‘Fly」としても活動を展開。
TANAKA ALICE
トータルプロデュース
近年では楽曲のみならず、アーティストのトータルプロデュースも手掛けるなど、マルチな才能を発揮している。
TANAKA ALICE × WREIKO FAMILY
MVプロデュース
2018年に審査員賞を授与したWREIKO にはTANAKA ALICEの楽曲「Watch Out!」のMV振付がビジネス・オファーされた。