近藤良平 | 本戦審査員インタビュー

審査員インタビュー
出演ダンサーたちの力を見極める視点 /
出演ダンサー&指導賞 選定審査員

 日本を代表するコンテンポラリー・ダンスカンパニーとして世界30ヶ国以上で絶賛され、文部科学大臣賞も授賞した「コンドルズ」の主宰にインタビュー!

 近年ではより多くの人たちにダンスを楽しんでもらうため数多くの公共事業にも参画し、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に就任した彼がダンスナンバー作品に着目するポイントとは!?

自由な発想でダンスの魅力を広げ続けるエンタメ舞台芸術家!

自由な発想でダンスの魅力を
広げ続けるエンタメ舞台芸術家!

振付家 / 演出家
ダンスカンパニー コンドルズ 主宰
彩の国さいたま芸術劇場 芸術監督

近藤 良平

PROFILE

男性のみ学ラン姿でダンスを主体とした多彩なパフォーマンスで観客を楽しませるカンパニー「コンドルズ」主宰。全作品の構成・演出・振付を手がける。世界30ヶ国以上で公演を行いニューヨークタイムズ紙が絶賛、NHKホール公演を即日完売にした実績をもつ。2017年には芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。現在では彩の国さいたま芸術劇場芸術監督もつとめている。

本番までに出演者たちが経たドラマ。
その濃密さはきっと5分間の中に滲みでてくる!

ダンスは一般的になったが、もっと人々を感動させられる!

──1996年から活躍し続けているコンドルズですが、どんな経緯で結成されたのですか?

僕らが大学生の頃って今ほどダンスが浸透していなかったんですよ。特に男性なんて各大学でも1人か2人くらい。

その表現好きなみんなで何かできたらいいねっていうのが始まりでした。

ダンスってノンバーバルな世界共通の表現なんですよ。

そこにさらに他のエンタメ要素を入れることで、より面白くて楽しい舞台がつくれるんじゃないかってさまざまな実験をして今のコンドルズのスタイルになっていきました。

──海外でも30ヶ国以上で公演されているようですが、どんな印象が残っていますか?

海外のお客さんはエンタメを認める心が広かったですね。

確実に感想を伝えてくれるし、出演者一人ひとりに対して賛辞をくれるのでとても感動しました。

それに色々な国に行くとその地域のダンスに出会えるので、また新たな刺激とコミュニティが広がっていったことは印象深いですね。

──近年では、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督にも就任されたんですよね!

そうですね。今は主に劇場の年間プログラムの作成とそれに向けた招聘といったさまざまな出会いの場を構築しています。

規模の大きさを問わず、本番という特別な時間を共有できるように、何をやっていこうか画策していますね。

──今の日本のダンスシーンにはどんな印象をお持ちですか?

近年は単純にジャンルが増えただけでなく自分が興味のあることに挑戦しやすくなりましたね。

それにボーダーレス化されたことで、より一般的になって広まりやすくなったと思います。

技術志向の振付やパッションを優先した振付が混ざりあうようになり、より心動かされる感動を与えられるようになっていると感じていますね。

しかし技術が優先されるせいか、コンタクトが作業のように見えてしまうことがあります。

ストリートダンスの中でも手を取り合うなど、人と繋がるシーンがあると思いますが、手の取り方一つで、映像で見ているような気持ちにさせたり、心を熱くさせることもできる

そういった部分をもっと丁寧にするだけでも感動が生まれるんじゃないかと思いますね。

誰かのためではなく自分のために頑張れ!

──それはやはり、振付師にも要求されることでしょうか?

求められていることに対して応えられることはもちろん大事ですし、丁寧なコンタクトができると嬉しいですが、何よりも必要なのは等身大の自分であることですね。

ダンスをしていると、どうしても見栄を張るような、自分を上乗せしてしまう瞬間があると思います。

ですが……自分に嘘をついた身体表現よりも、誠実な表現である方がより素敵だと僕は思っています!

──では、審査員として『Legend Tokyo』ではどんな点を重視しますか?

たくさんの汗と涙と時間を費やして本番に披露される〝最高の5分〟を僕は観るわけですが、この舞台へ立つまでに経た練習の部分にはたくさんのドラマがあったと思います。そこを注視して観たいですね。

作品ごとに描かれた、振付師の描く世界がどうやってダンサーに伝わり、還元されたのか?

その濃密さは、きっと5分間の中に滲みでると思います。

ただ、それは練習時間が長ければいいということではなく、何に対してどれだけ突きつめることができたか?

その成果がみえる作品はきっと観る側も胸が熱くなるでしょう!

──なるほど、作品としてだけでなく出演ダンサー全体にも目を向けるということですね!

振付師はもちろんですが、出演を決めたダンサーもあえて自分のために頑張ってほしい

コロナ禍が明けてせっかく好きな世界を楽しむことができるので、好きな振付師のもとで自分にチャレンジして全力を出し切ってください、それが等身大を大きくする一歩にもなります。

もちろん振付や構成を覚えることは当たり前ですが、誰かのためにやらされているのではなく、自分のために時間を使ってやっている。

そして実力をギュッと実らせる。

そんな素晴らしい作品とダンサーの皆さんに出会えることを楽しみにしています!

このポイントを重視して審査!

何に対してどれだけ突きつめたか? 出演者全体でその濃さと成果が伝わる作品!

JOB FILE

ダンスカンパニー
コンドルズ主宰

20周年記念NHKホール公演では即日完売、追加公演の快挙を成し遂げ、コンテンポラリーダンス界の金字塔を成し遂げた!

彩の国さいたま芸術劇場
芸術監督に就任

ジャンル・クロス I 近藤良平 with 長塚圭史『新世界』
提供:彩の国さいたま芸術劇場 撮影:宮川舞子

「クロッシング」のテーマのもと、様々なジャンルのアーティストたちが交わり合い、新たなる表現を生みだした。

『スポーツ祭東京2013』
演出総監督

2013年9月から10月にかけて東京を中心に開催された、第68回国民体育大会(国体)における演出総監督をつとめた。

世界約30ヶ国で
招聘公演を実現

NYで初の海外公演を成功させて以降、約30ヶ国で招聘公演を行ない、NYタイムズ紙に1面を裂いての絶賛記事が掲載された。

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