鈴木基之 | 本戦審査員インタビュー

審査員インタビュー
テーマ表現力を見極める視点 /
テーマ表現賞 選定審査員

 日本の芸能界を代表する大手プロダクション「ホリプロ」において、長年、新人開発と育成を手がけ、近年では数多くの大型海外ミュージカルの翻訳上演及び日本初のオリジナル作品を取り仕切ってきた鈴木基之氏。

 名だたる才能や著名作を見出してきた発掘の達人であり、現在はグループ各社を取りまとめる立場に就任している重鎮が考える未来とは!?

海外大型ミュージカルの翻訳上演 才能発掘を手がけてきた重鎮!

海外大型ミュージカルの翻訳上演
才能発掘を手がけてきた重鎮!

株式会社ホリプロ・グループ・ホールディングス 取締役

鈴木 基之

PROFILE

ホリプロ入社後、宣伝部を経てタレントのマネジメント、新人発掘と育成に携わる。ホリプロスカウトキャラバンにおいては運営から審査員長を務めるほか、作品の主演募集など様々なオーディションを手がける。2019年代表取締役専務就任を経て、現在はグループホールディングの取締役としてグループ各社をとりまとめている。

災禍を乗り越えて生まれた想いをぶつけて。
コレオグラファーのルネッサンスはここから始まる!

世界に通用する人材を日本から輩出するために!

──以前はホリプロの舞台事業のトップとして活躍されていましたが、現在もお変わりはありませんか?

現在はホリプロを含めたグループ各社全体の経営に関わるホールディングス会社に移りまして、グループ会社同士でシナジー効果を生みだすようにアドバイスを行なったり、新しい事業の提案やデジタル化、グローバル化の推進をしています。

──さらなる栄転をされてたんですね! 特に現在注目されている新事業はありますか?

私としては子役から将来のスターを輩出したい事、もう一つは「ホリプログループ、タレントの演技力は凄いね!」と言われるような〝演技教育〟を確立したいと思っています。

やはりお芝居が上手くないと世界には通用しません。

欧米では義務教育の一環で〝演劇教育〟が取り入れられています。そこが日本との大きな差です。

演技を学ぶことはコミュニケーション能力を高める効果が大きく、世界に通用する人材にもつながっていくのです。

──なるほど、若いうちから演技力を高めることで世界に通用する人材になるんですね!

そういう意味ではダンスをやっている人は演技の素養があるというか体得が早いですね。

お芝居もダンスもできると仕事のチャンスも広がりますし、それこそハリウッドやブロードウェイの俳優は、お芝居はもちろん歌って踊れる人ばかり。

世界に通用するにはどれも必要なことなんですね。

──やはりダンス、歌、芝居ができると活躍の場が増えるんですね!

日本の舞台業界は今ミュージカル作品が増え、ミュージカル観劇者も増えています。

ミュージカル俳優は身体が動き、歌唱も出来ることもあり、タレント生命も長いです。

そして、ミュージカル業界の盛りあげと、作品力を高めるために〝振付〟の役割が益々大きくなり、斬新さが求められています

そういった流れの中で、私たちの舞台界では『Legend Tokyo』のような大会で賞を取る振付師への注目度は益々高くなっています。

世界的な厄災を経て クリエイターが生みだすもの。

──そうなんですね! では審査員としてご参加いただく今大会の『Legend Tokyo』には、どのようなことに期待されていますか?

やはりコロナ禍を経験した振付師たちがどのような作品を作るのか非常に興味があります。

というのも〝人が集まってはいけない〟という誰もが経験したことのなかった状況を経験して、みんながエンタメの意義を見つめ直したり死生観も変わったと思うんです。

そういった経験が振付師の創造性や作品にどう影響して表現されるのかが楽しみです。

──確かにダンスを含むエンタメ業界はその意義を見つめ直す機会になりましたね。

ただそれはそんなに悲観的なことだけではなく、かつて14世紀から蔓延してきた伝染病のペストがパンデミックを起こした後に〝ルネッサンス〟が起きたのです。

ルネッサンスを代表する世界的劇作家シェイクスピアの代表作「ロミオとジュリエット」では、まさに〝ペスト〟があらすじにおける大きな装置となっています。

ある意味「疫病が流行ったから生まれた名作」でもあるわけです。

──世界的な伝染病の後に大きな文化の革新が起こった、という歴史があるんですね!

つらく悲しいことではありましたけど、それをバネに活かして次の新しいものを生みだしていくのがクリエイターだと思います。

だから、この大会から振付師のシェイクスピアが生まれるかもしれないじゃないですか? そういう新たな時代の才能が生まれることにすごく期待しているんですよ!

──審査員として歴史が生まれる瞬間を目撃できるかもしれませんね!

審査員としてはどういうテーマを表現するのか? それがしっかり伝わるのか? をポイントに見たいと思っています。

振付師のみなさんには、コロナ禍を経た今の自分を大会にぶつけて、「振付師の、自分にとってのルネッサンスがここから始まるんだ!」というぐらいの気持ちで臨んで欲しい。

そういった大きな想いを僕らはもちろん、お客さんにぶつけて伝えてくれるのを楽しみにしています!

このポイントを重視して審査!

コロナ禍を経て振付師たちは何を得て、何が変わったのか?

JOB FILE

数々の才能をプロデュース!

藤原竜也 / 大貫勇輔

藤原達也、大貫勇輔をはじめ現在、舞台業界、TVドラマで活躍する数多くの〝本格志向〟の才能たちを世に輩出してきている!

ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」企画開発

潤色・演出に小池修一郎をむかえた話題作。振付師にはKAORIaliveやAKIHITOなど歴代『Legend Tokyo』優勝者たちを起用!

ミュージカル「ビリー・エリオット」企画開発

世界的大ヒットを記録したミュージカルの日本キャスト版を実現、数々の演劇賞を獲得した。2024年夏にも上演が決定している。

舞台公演「ハリー・ポッターと呪いの子」開発

世界中の演劇賞を受賞した舞台版『ハリー・ポッター』を日本オリジナルキャストで実現。藤原竜也、大貫勇輔らが主演をつとめている。

審査員一覧